第18回

マニュアルはあっても(上)

  

新規開店ファーストフード店にて

 数年前のこと、ある開店したばかりのファーストフードショップに行ってみました。

 注文をカウンターで受けたスタッフは後ろへ注文を伝え、キッチンは調理を始めました。その女性は飲み物を作りにいきましたが、あいにくコーラが切れてしまったようです。サーバーの段取りをするためにスーパバイザー風の男の人に声をかけます。彼は今詰めかけていたポテトの袋をそのまま置いて、コーラの補充にかかります。(ありゃりゃ)

 見ると一人の女性スタッフが忙しそうにカウンターの後ろを歩いています。右へ行っては注文の袋詰めを手伝い、声がかかるとその手を止めて左へ行って屈んで何か探しにかかっています。そのうち何か云いながら戻ってきますが、頼まれたものがなんだったのか、見つかったのかそうでないのか見ている私にはまったくわかりません。彼女は、先程の袋詰めにもどろうとしますが、別の女性がその作業を一人で続けていたので、今度は何を何個入れたか話し合っています。大きな袋からせっかく詰めた品物を出しながら中身と伝票の照合を二人ではじめました。(やれやれ)

 モーションマインド(動作経済感覚)のある人間には見ていられない光景です。仕掛かりの仕事が散乱し、人の動きはムダだらけ。統制も見られません。監督者はあれこれ高い声で指示していますが、場当たり的です。そしてみんな大変忙しそうに動き回り声を上げています。その声の調子を聞いていると彼ら自身が忙しいと感じていることが良くわかります。しかし品物に目を固定して見ていると、置かれて誰かの手がかかりちょっと作業されたかと思うとまた放っておかれ、停滞しっぱなしです。遊んでいる人間はいないのに一向に商品は流れてゆきません。

 

 

 


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