第27回

自殺(上)

  

最近の世相

 毎週脳天気な駄文で貴重な紙面を浪費している筆者ですが、さすがに昨今のシリアスな世情、経済情勢を見るに「ふざけるな」という読者のお叱りに値するものかもしれないと気になります。タイにおいても自殺が多くなっているといわれます。統計的に以前との比較をしたデータを目にすることはありませんが、最近の自殺件数は、十月はじめからの約一ヶ月半で未遂も含めて六十八にのぼるそうです。自殺者が出たという報道とともに、識者が解説する論評なども目にします。

 これまで当地の自殺のニュースを聞くとなぜそんな簡単に命を落とすのか、筆者には理解の難しいことがままありました。昨年の暮れ茶飲み話をしているとき、筆者の連れ合いは「見栄よ」と一言言いましたが、これは成功者が没落する失意と羞恥に耐えられないということを言ったようです。筆者は「でもさ、サバイ、サヌックのタイ人がねえ」と答えながら、前世や来世を思いながらお寺に通いタンブンをするタイ人の宗教観とのつながりも気にかかったのでした。

 先日自殺志願の女性の墜落の映像がテレビで放映されたことで、世間の関心が一段と高まりました。そのショッキングな報道の翌日、ある商談で話をしたタイ人ビジネスマンはこう言いました。

 「毎日自殺のニュースばかりです。景気の問題ではない。タイ人は自分たちの人生が世の中とともに変わっているのについて行っていないのです。ちょっと人生がつらくなるとすぐギブアップしてしまう。つらい思いを乗り越えて人生を切り開いて行こうという生き方を教えられていないのです。こんなことでは21世紀の世界についていくことはできない。わかりますか?生き方の教育が必要なのです。」

 このビジネスマンの話、社会的な生き方の教育や訓練に結びついているところが筆者には新しい視点でした。

 

 


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