第44回

現地調達のジレンマ(1)

  

 

   昨年投資委員会事務局(というよりBOIと言ったほうが通りがよいでしょうが)の組織した団体が筆者の勤務先を訪問しました。BUILDというプログラムがあります。サポーティング・インダストリを育成整備するためのBOIのプロジェクトで推進事務を扱っているのがBUILDユニットです。

 1990年代のはじめ頃までに、日本を中心とする多くの外国のセットメーカーの工場がタイに進出しましたが、そこで直面したことは設備機械や建設材料など多くの資本財と原材料の大規模な輸入の発生でした。投資の多くが外国人によるものであり資金の過剰流入のトレンドがありましたから資本不足には陥らず、当時の主たる問題はフローである原材料の輸入をいかに抑えるか、すなわち製品のローカルコンテンツをいかに高めるかというであったことは理解できます。

 筆者もタイに来るまで東京で海外生産プロジェクトのフィージビリティスタデイに少なからず関わってきましたので、各国政府などの強制するローカルコンテントには、オペレーションする立場としては苦労が多いことを知っていましたから、現地調達率という言葉にはまず難題というイメージが先に立ち聞けば肩の重くなるものでした。製造コストの低減という観点からは同じ仕事を安くできるような現地付加価値の向上はむしろ積極的に進めたいものです。しかし品質面納期面でこの「同じ仕事」を保証しようとしたときに、不良品の増大とその処理、発注側からの支援など固定的費用の増大を招いて簡単に安くならない、しかもそれが標準原価計算とそれによる管理ではフォローしにくいだけに純真な経営請負者達の意思決定をミスリードしがちという、三流テクノクラートとしての悩みの種はつきませんでした。

 

 


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