第48回

現地調達のジレンマ(5)

  

 

  乱暴に言ってコントラクト・マニュファクチャラーには2つの極があるともいえます。間接部門にはあまりリソースを投入せず、直接の製造作業に特化して徹底的に低コスト生産を行う企業と、自ら技術力を持ち他の会社にできない差別化を行って存在価値を追求する会社です。同じように徹底的に効率を追及した両方の会社が同じ部品を作って客先に納入すれば、前者の納入価格が低くなるのは当然です。同じように見えてその部品は同じものではないのですが、単純に調達部品のコストを語るときにはごっちゃにされがちです。したがって後者の企業は徹底的に品質や納期などで差を見いだすか、さらに独自技術にもとづく部品の開発をおこなって行くことになります。後者は苦労は多いですが成功すればむしろ完成品メーカーより強い立場に立つこともありますが、一方前者には利益は出ても将来への可能性が限定されてしまいます。

 自覚の薄い完成品メーカーが調達部品の価格のみを気にしていると、前者のようなタイプの部品メーカーを多用して、間接コストがその完成品メーカー自身やほかの完成品メーカーに転移しやすいといえます。アウトソーシングを行うときには同時に内部の効率化が行われなければなりませんが、成長過程での外部調達拡大の習慣を引きずっていると、加工に専念する元請依存度の高い部品メーカーをサポートするため、むしろ内部固定費を増やしてしまうこともありがちです。

 多くの日本の完成品メーカーは大きな固定費と間接の低生産性に悩んでいますが、調達価格や製造原価でものを考えているうちはなかなか問題が表面化せず今日の根の深い頭痛をもたらしています。ローカルメーカーからの調達の推進といっても調達先を変えるという単純なフレームワークでは捉えきれないジレンマがあります。(つづく)

 

(つづく)