第49回

現地調達のジレンマ(6)

  

 

   当然ですが日系完成品メーカーの部品調達において言語の壁は大きな問題です。これまで述べてきたように、日系完成品メーカーと取引する上でのアドバンテージを最大限生かそうとすれば営業担当に貴重な日本人を配置することは必須ですし、技術や工程を見るキーパーソンにおいても同様のことが言えます。

もし部品メーカーのキーバーソンがタイ語や英語が堪能でない日本人であれば、勢い発注側も日本人の役割が大きくなります。その逆もしかり。実際に日系セットメーカーと日系部品メーカーのそれぞれのローカルスタッフ同士、日本人同士の会社間をまたがったコミュニケーションはよかったが、それぞれの社内でのローカルスタッフと日本人のコミュニケーションがおかしくて問題が発生したというような笑えない話も少ないことではありません。そしてどちらもが、減らしたい駐在を減らせないジレンマに陥ります。

 タイに工場を作り生産をするということは日本のメーカーにとってあたりまえのことでになっています。競争力とは他人ができないことをすることによって得られます。であるとすれば単にタイでつつがなくものをつくっているだけでは競争相手に対する差別化はできない世の中になっていると言えます。いろいろな要素があるとはいえ、現状タイでのアドバンテージを生かしたモノ作りをするということは、ひとつ煎じ詰めれば、日本人と同じ仕事をどれだけタイの人によってなしうるかというという点に帰結します。だめそうに見えてもこつこつ現地化することしかありませんし、そうすれば確実に差がついて行きます。

 ある意味で時間との闘いとも言えます。タイのゴーイングコンサーンから、に人に先んじて価値を生み出し続けて行くには、二十年を貫く企業の信念が求められます。

〈了)

 

 

 


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