第51回

駐在員の要件(1)

  

 

 今月で筆者もタイ駐在が九年目に入ります。この辺で派遣駐在員に必要な条件について筆者なりの考えをまとめておきたいと思います。もちろん筆者の体験は限られ、あくまでもその狭い視界にあることにしか触れることができません。しかし筆者が親会社にとってはじめてのタイ現地法人を立ち上げる仕事で得たことには、一般に応用の効くこともあると思います。

 はじめに「業務の枠組みが見え、目的優先で行動できる」ことを駐在員の要件に挙げたいと思います。

 良く言われるように日本から現地に出向すると、突然業務の幅が広がり、権限と責任が大きくなります。もともと「現地化しなければ意味がない、しかしそれが簡単なところにには進出する意味が無い」わけですから必然的にそうなります。オーナーや経営者の現地赴任は別として、サラリーマン駐在に言えることは、「一人で何でもしなくてはならない」、また「代わりにやってくれる人間がいない」という逃れられない事実です。

 そういうなかでは、多能でかつ他業務への理解があり、質はそれほど高くなくても確実で速い実務能力と調整能力があることが求められます。判断と指示だけの人間は足手まといにしかなりませんので、特に上級管理職に行動力がないとチーム全体の貴重な戦力が半減してしまいます。業務に優先度をつけて、不急の業務の割り切りなどができることはもちろん、仕事の出来映えやプロセスにこだわらず速く結果を出せることが重要でしょう。自分の存在価値ややっている仕事の価値よりも仕事の目的と結果を優先できるかどうかです。

 自分に能力はあっても忙しくて手が回らないときなど、外部の官公庁やコンサルタント、取引先を有効に使えない内弁慶もバツです。特に大組織の出身者には外部との接点や人脈をうまくつくれる人が少ないように思います。

 

 


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