第56回

不況+構造変化

  

 

 新聞を読んでいましたら、情報機器の商社として有名なS社が事業更正法の適用を申請したというニュースが目に止まりました。S社は欧米や日本のブランドの代理店としてタイ国内の市場ではかなり目立つ存在です。過去数年パソコンやOA機器の普及に伴って急速に店舗数を増やしてゆきました。通貨危機以後需要も冷え込み、借り入れが難しい世の中で状況が厳しくなったことは容易に想像ができます。

 しかしそれだけでもないでしょう。タイのパソコンの市場はこの第一四半期に対前年で三割程度伸びたとのことです。そのなかでパンティッププラザのようなモールが繁盛しています。セーリーセンターやフォーチュンタウンにこの路線を狙った情報機器のモールができたのはこの市場と販売形態の将来性を見てのことでしょう。さらにペッブリー通りのエンタテイメントコンプレックスがこの種の業態への変身を計画するなど、またぞろ雨後の竹の子のようにできて供給過剰になりそうな懸念もあります。しかしいずれにせよこういった日本の秋葉原や日本橋のようなところで部品から組立られたノーブランドのパソコンを買うという購買パターンができています。

 一方メーカーブランド品になると、パソコンはいまや流通革命が浸透しオンラインのダイレクト販売などが世界中で普通のことになりました。タイも例外ではありません。

 またタイで最近目立つのが、オフィス用品が何でも手に入るアメリカ流のオフィス・スーパー・ストアで、ここでもパソコンやOA機器を買うことができます。

 情報機器市場はタイにおいてもプロスペクティブですが、従来のような総代理店から代理店や販売店を通じて商売をするという形態がどう存続して行くのかはわかりません。不況下のタイでも時代は変わっていきます。S社の再建の行方を見守っていきたいと思います。

〈了)

 

 

 


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