第67回

比較文化?(1)

  

 

 タイ人と日本人をテーマにしていれば、たいていは比較文化の話になっていくでしょうが、この点に関しては巷に参考になる図書や資料がたくさんあります。

「駐在の」と銘打ったコラムでは、ビジネスや職場の人間関係に世界が限られ、実は話はかなり楽になります。ビジネスの世界では比較的価値観や概念、言葉が共通しているからです。 

 たとえばアメリカン人と日本人とタイ人のMBAがいっしょに仕事をしたときコミュニケーションに苦しむということはほとんどないでしょう。確かにシーロムのビジネスマンと大手町のビジネスマンに違いはあるでしょうが、これに日本の地方の工員とコラートの工員を加えた4人で集合は、どの人とどの人がもっとも考え方が近いと言えるでしょうか。

 別の例としてバンコクからバンパインまでの六○キロメートル余、片道一時間の運転手つきの通勤について考えてみましょう。ある地方の工場出身の日本人は、自分で運転しなくてはならないとはいえ二十分で済んでいた通勤と比べて苦痛に感じます。ところが片道2時間満員電車のなかで格闘していた京浜地区出身の人間には、まるで天国のような通勤です。

 親会社の労働組合の幹部が駐在員の状況視察に来ることがありますが、そのときに駐在員達から出るクレームや意見を聞くと、それぞれの出身職場によってずいぶんと言うことも捉え方も違いが現れ結構面白いものです。

これまでタイに駐在してき多くの日本人は、タイのローカル従業員の会社へのコミットメントが足りないという感想を抱いて来たものと思います。しかし日本人駐在員にも一九七○年代生まれの人が増え、バブル期入社の若者も含まれるようになっています。いったい彼らの目にローカルスタッフがどのように映っているのか、それもまた興味深いことです。

つづく

 

 

 


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