第77回

新しい政治家(1)

  

 

 近頃日本の新聞にアピシット首相府相を誉めた囲み記事が載りました。彼が欧州の会議に参加した際の、会議中の積極的な態度、しっかりしたスピーチ、パーティーでの立ち居振舞い、時間を無駄にしない密度の高い行動を述べ、彼のような新しい政治家が今後の国際社会におけるタイのプレゼンスを高めていくだろうということを述べていました。

 アピシット氏が最初にバンコクから国会議員に立候補したときの圧倒的な勝利を今も思い出します。当時はまだ二十代だった思いますが、若くてハンサムな映画俳優ばりの候補の圧勝にバンコクの人もミーハーなものだなという感想を持ったものです。しかし最近、特に首相府相になってから伝えられる言動を読んでいると、確かな見識に加えなかなかどうして三十台半ばの大臣とは思えない堂々としたものがあります。

 こういう人たちをエリートとかプリンスとか呼ぶのでしょうが、年のいった重鎮たちにスポイルされてしまわない所が日本と違います。日本の青年と比べて発言や考えることの内容にそれほどの違いがあるものではないでしょうが、確固たる自信と責任感、周囲のレスペクトだけは比べようもありません。

 日本では政界にしろ財界にしろリーダーまでの年功序列順送りの道のりは途方もなく長すぎて用をなしません。判断力、決断力、行動力のあるリーダーを得るためにはファストトラックを作らなくてはならないことが明白です。エリートにしっかりした自覚と責任感をもたせることが必要です。同様にフォロワー側にも適切なビヘイビアを身に付けさせなければなりません。この点日本には才能を見つけ出すことも、それを伸ばし育てることも、自ら伸びるものを助ける環境もありません。日本の社会が他の国に学ばなくてはならないポイントです。

(つづく)

 

 

 


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