第79回

帰って来た電車

  

 

 バンコクに電車が走ったのは京都よりも早かったそうです。その路面電車がいつ撤去されたのか詳しくは知りませんが、長いブランクを経てバンコクに電車が戻ってきました。12月5日にバンコクの大量交通機関プロジェクトのひとつBTSが開業したのです。

 その日は日曜日でしたが、たまたま日本からかつての同僚が遊びにきており、夕食の後サラデーン駅で一緒に切符を買い、途中サイアム駅での乗り換えを経てアソーク駅まで電車の旅をしてみました。

 当然ですが駅も車両も清潔で清々しかったです。つり革にぶら下がって友人と話すことしばし。高く細く唸るような電車特有の動作音やドアの開閉の音。次の停車駅を告げるアナウンス。下車してから友人の泊まるホテルまで歩く「駅から徒歩十五分」の道。まるで東京にいるような感覚がしまし

 電車はエネルギー収支的には効率的ですが、経済発展や都市化の度合い、モータリゼーションの進行度、建設コストなどそれが発達するかどうか条件があると思います。BTSも採算的には厳しいようです。日本の大都市は電車が良く発達した例ですが、当然バンコクが同じような姿を目指すものでもないと思いますし、大量交通機関の活用には日本とは違う可能性もあるでしょう。

 大空を横切る高架線のデザインは洒落ていて、ずっと高いところを通って未来的です。未来の都市交通のモデルをバンコクに見ることは将来とも難しいでしょうが、何か新しいマスタープランを見せてくれないか期待する筆者です。私有の自動車の制限を行うことによっては画期的な都市交通システムができるでしょうが、稼働率の低い自家用車の生産販売がすでに組み込まれている日本の経済ではそれも難しいことです。それができるのはタイのバンコク?いやたぶんあの国でしょう。

〈了)

 

 

 


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