第80回

経済統計に思う

  

 

 今年の経済成長もいろいろな予測の発表があるたびに上昇し、今や4%台になっています。第3四半期のGDPは対前年で7.7%も伸びたということです。GDPの対前年上昇率を業種別に見ると好調な業種が二桁伸びている一方で、いまだにマイナス成長が止まらない業種があり明暗がはっきりしています。

 ある人が「経済統計の数字は恣意的に操作されているかもしれません」とアドバイスしてくれました。選挙も近いことですし、確かにあまりにもっともらしい数字にはメイクアップを疑いたくなります。ただ構造調整が不十分と思われるところに良くない数字が出ているのを見ていると危険は感じません。片付けねばならないものがまだ片付いていないと表示しているうちは健全です。

 どこかの国で毎回「緩やかな拡大基調」としか書けないことを批判するのは容易ですが、それは書く者の立場が現れているだけでなく、読むものの気持ちも反映していると思います。多くの人が無意識に逃避を図っている現状の鏡ではないでしょうか。

 筆者も事実を並べるだけが経済統計の能ではないと思いますが、やるべきことをやるように、事実に直面して課題を克服する努力に人を向けるようになっているかどうかということは重要と思います。

 単純すぎますでしょうか。しかし飛躍と極端を許していただけば、経済統計や報告という間接サービスの仕事において都合としがらみのために人が時間と知恵を浪費し、厳格な評価もなく対価が支払われ、その浪費さえもが付加価値としてGDPにカウントされているとしたそれも健全とはいい難いでしょう。「知価」もシビアに測定する必要があります。

「タイの数字は適当だ」と言うとき、複雑な嘘をつく人が単純な嘘をつく人を笑っているような虚しさも感じます。

〈了)

 

 

 


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