第85回

熱い季節

  

 

 タイの暑季入りにはまだひと月ほど早いですが、バンコクには熱い空気が漂いはじめました。

 上院議員選挙が近づき立候補者たちが防弾チョッキを買っているというニュースを読んで、何か一昔前に戻った気持ちがします。来週に予定されているUNCTAD(国際貿易開発会議)を前に、タイの当局は警備体制を固めていますが、一方で国際的なテロリストが次々と入国しているとか。(どうしてこういうニュースが流れるのか不思議です)シアトルでのWTO会議の騒ぎを思い出せばバンコクでも一騒ぎありそうな懸念はあります。

 そんな中で先のカレン族組織「神の軍隊」によるラチャブリーの病院占拠事件は心肝寒からしめる出来事でした。前回のミャンマー大使館占拠事件の後遺症が残る中、人質全員無事救出という結果はタイ政府にすれば成功ですが、呼応するかのようにミャンマー政府軍の「神の軍隊」の拠点制圧というニュースが流れるにいたって、巷にはシナリオの存在を取り沙汰するような向きもあるようです。

 大事な国際会議の前にテロに対する毅然とした態度を示せたのはプラスですが、自由貿易反対のデモはより人権にセンシティブですから人質テロ事件と同じにはいかないでしょう。さらに総選挙に向けて今後暗殺事件などの発生も心配されます。

 透明な政治と治安維持は国際社会のタイ国に対する認知度向上につながります。2008年にオリンピックを開催するというのはタイ国の国際社会でのプレゼンス向上の目標として絶妙です。8年後であればバンコクでオリンピックを開催するハードやソフトに懸念はないでしょう。あとは信頼できる政治システムや社会秩序を築き、いわば国の品格ともいうべきものを形成できるかどうかにかかります。この熱い季節をどう乗り切るかがそれを占うものにもなりそうです。

〈了)

 

 

 


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