第90回

許認可手続き(2)

  

 

 許認可関係では私自身不用意に役所の上層部に働きかけ担当官の面子を潰してしまい、その後実務担当者の仕事を非常にやりにくくしてしまったという失敗などもありました。各社のいろいろなトラブル事例も見聞きしましたが、原因が法律や規制への無理解、間違いやミスコミュニケーション、無能なコンサルタントの介在などにある事も多いように感じました。

 なかには自分の方にミスがありながら、業者や社員などの責任逃れの報告に惑わされ、進行の遅さに業を煮やして必要も無い賄賂を提供してさらに事態を不透明にしていると見える例もありました。

 その上に役所やオフィサーを「無能だ」とか「汚い」と誹るというのは傍から見ていても感心できません。反対にお役所の方ではその会社は賄賂を使って無理を通そうとする悪質な会社であると言う見方をされていたりします。

 タイが発展途上国であるとか、法制度が整備されていないとか、役人には汚職が蔓延しているとかいう先入観が事実を見えなくしていることが多いようにも思います。事実は事実としてそのように論評できる事象が仮にあるにせよ、なにかとそのような先入観をもって考えることは害が多いと思います。

 こういった経験からすれば官公庁への申請業務の王道は、まず制度や許認可の意味や背景、手続きや認可のメカニズム、権限の所在を正しく理解すること。書式の細目についても理解しておく。次に申請内容は将来起こり得ることを良く考え整合性に齟齬をきたさないように気を配る。そして記入内容には完璧を期し間違わないことです。

 蛇の道に足を踏み入れないで済む一番の方法はまず隙を見せないこと。よしんばミスをしたときは素直に行動する。あくまでも正攻法を基本にして安易に裏口を探さないということにあります。

〈了)

 

 

 


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