第93回

給与体系と査定システム

  

 

 会社が小さいうちは全員の給与を社長が一人で決めていくことができますが、会社が大きくなり複数の人間で決めるようになると賃金体系、昇格昇給スキーム、査定システムというものが必要になります。

 給与体系や査定システムを決める要素は、職種、職務、職能、勤続期間、同一職種の滞留期間、年齢、精勤度、業務成果など多様です。日本との違いばかりを気にしてついつい構えてしまいますが、これらの要素を組み合わせていけば給与テーブルなり算出式なりを作ることはできます。その過程で会社の考え方もはっきりしてきますので有意義です。

 しかしやってみるとやはり困難に直面します。特に賃金が高騰した時期などは初任給の上昇がその他の昇給要素をすべて上回りましたし、職種間の格差、職能資格間の格差とそれに伴う昇格時の昇給率の大きさなど、給与格差の少ない低成長経済の日本国から来た人間の常識を揺さぶります。体系作りと査定が同時に行われると特にそうです。

 構築した体系を生きたものにするには普段の組織や仕事をそれに沿った形で運営していくことが鍵になります。どんな形であれ給与体系や査定システムは公平性や透明性を要求されると思います。その際日頃から仕事をこの体系に沿って見える形にさせてゆく、つまり普段から同じものさしを使って仕事することを意外と忘れがちです。「さあ昇給査定の時期になった」という時に引出しの奥から基準を出してくるようですと苦労するのも当然です。また状況が変わりますから給与体系にも完成はありません。今この時に適した仕組があるということだけでしょう。先を読みならが将来の人員配置を考え昇格の伏線を張ったりする時、給与体系や査定システムは厳格な基準と云うよりは職人が使う道具に似ています。

〈了)

 

 

 


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