第94回

改善提案と小集団活動

  

 

 工場が稼動を始めて1年が過ぎたころ、改善提案制度と小集団活動を導入するように上司の工場長に命ぜられました。現場出身の工場長の描く新工場の立上げの完成像にはこれらが組み込まれていたようです。しかしオペレータはようやく標準作業ができるようになったところ。監督者のライン編成は見よう見真似で、作業研究、動作分析の手法活用は望むべくも無く、作業者の能力活用や伸張について意識も方法論もありませんでしたので時期尚早にも思えました。

 しかし筆者も形から入るにやぶさかではありませんでしたから、管理者や監督者に活動の経験が無いなかでどうやって彼らを通じて活動を推進してゆくか検討を始めました。日本国外のグループ企業において改善提案制度や小集団活動を導入した事例はありましたのでその情報を集め、起こり得る失敗の可能性を考え作戦を練りました。

 作戦の第一は活動の主体よりもそれを指導し評価する管理監督層を正しく理解した推進者に育てることでした。第二に規定や書式、業務フローをしっかりと構築して運用のトラブルを防ぐこと。第三にはやる気持ちを抑えて当面は部門間の競争などのプロモーションは行わず理解と定着を図るための説明会や教育に注力することでした。

 予想したとおり「改善とは何か」、「何が良い改善か」、「改善はどのように進めるか」などについての教育には時間を要しましたが結果として導入は成功し、その後参加率向上や件数増加などの定番の促進活動を展開してきました.

 しかし最近は若干マンネリで事務局が悩んでいます。近年はトップをはじめ推進する側の熱意が薄れていた面も否めなく、こういうことは実に正直に会社の状態に反映するものだと痛感します。経営者、管理者の関心と熱意とフォローの労を映すのです。

〈了)

 

 

 


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