第95回

技術技能(1)

  

 

 先日日本で行われた大学生のロボットコンテストでタイのチームが日本のチームを圧倒した様子がテレビで放映されたそうです。その話を聞いて数年前、国際技能オリンピックにおける日本選手の活躍を追った特集番組が大変な反響を呼んだことを思い出しました。その番組は年々メダルをアジア、オセアニアや欧州の国々に奪われて行く日本の技能の空洞化に警鐘を鳴らすと同時に、その技能の世界でひたむきに努力する若者の姿を映して人々の胸を打ちました。

 「知価社会」や「情報産業」とか日本の未来の経済を語るキーワードがありますが、知識や情報だけでは経済社会は成り立ちません。あらやる意味においてオーバーヘッド化した日本国と日本人が生きて行くためには現業を外国や外国人に頼み共生して行くしか道はないのです。しかし、その事実を正面から見据えて真剣に考え行動している例は多くありません。

 タイの新会社で生産をスタートする際、社内や部品メーカーでまず必要になったのは基本的な加工をきちんと行える技能者でした。日本で暇を持て余していた技能研修所の教官達が、タイに来て水を得たように生き生きと若い研修生を指導する姿を見て日本の行く末と生きる道について考えさせられました。

 いくら空洞化したとはいえ、世界に誇る日本の技術技能とタイのそれにはまだまだ大きな差がありますが、条件の違いがあろうと曲がりなりにもタイのチームが日本のチームに勝ったという冒頭の話の与えるインパクトは小さくありません。筆者の会社の全世界はんだ付けコンテストで一昨年マレーシア工場の選手が2位になりました。奮起したタイ工場のメンバーも1年間の特訓の末昨年堂々3位に入賞しました。

 タイ人、日本人どちらにとっても未来はタイ人の技術技能向上の先にあります。「継続は力」です。

つづく

 

 

 


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