罠にかからないために

 

前回(だいぶ前になってしまいましたが)お話しした「バンコクの罠」の続編として、いろいろな罠にかからない方法やそのほかの安全対策について述べることにします。

1. 安全三原則

基本は、みなさんご存知、
  「水と空気と安全はタダ」ではない
です。まずは安全三原則を心がけましょう。それは次のようなものです。

 1)目立たない。(危険を察知したら、逆に目立つようにする。)
 2)用心を怠らない。
 3)行動を予知されない。

2. 警戒を怠らない

 外国人として、人に対してやたらと親切にならないことも心がける。というより親切にしたければ、かなり注意深く罠にかからない構えが充分できていなければなりません。片言の外国語で人情がつうじあったと錯覚している隙に大きな落とし穴に落ちるケースが多いことを忘れてはなりません。見知らぬ人が近づいてくるのは何か裏があるとまずは思うことが必要です。

 場合によってはよくわからないふりをするのも一法。英語がまったくわからない振りなどもすることも一つの方法。また生活水準の違う人と友達としてつきあうのは、いろいろな意味で(相手のためを思っても)慎重さがもとめられます。

 失礼は後でわびれば良いのです。勝手の分からない外国で、危険を防ぐための行為は社会的に許されます。それをいつまでも立腹しているような相手は注意すべきです。場合によっては罠と思っていいでしょう。ここで引け目を感じてはまりこむのがひとつのパターンでといえるでしょう。

3.君子、危うきに近よらず

1)自信のない観光客は見知らぬ場所や観光コースからはずれたところには行かないようにしましょう。冒険は物心両面で冒険の覚悟と支度をしてかかる必要があります。遊園地のアトラクションと違いご破算にはなりません、トラブルに巻き込まれて領事館や友人知人に迷惑を掛けたりすると、自らの社会的信用を落とすことにもつながります。そして関係のない日本人や旅行者が同じようにみられてしまいます。

2)メーターのないタクシー、バイクタクシー、サムローには乗らないのもけがの危険をさける意味も含めて安全策。バスもすりや強盗!に要注意。社内の喧嘩にまきこまれ流れ弾で死んだ例もあります。高速道路ではシートベルト絶対着用。遠距離バスの事故でなくなる人は多いです。

3)ケチャップ、ワイン、ツバ、アイスクリーム等を着けられたら「OK,OK」といって、その場を離れ別の場所でふく。

4)ハデな服装、装身具は危険を招いているようなものといってもよいでしょう。

5)変な電話がかかってきたら名前をいわないように。タイでは電話を掛けたほうから、掛けた先に「ナンティーナイクラップ。(そちらはどちらですか?)」とを聞くのが普通です。電話を受けたらすぐ答えず、まず相手の確認を第一にすることです。相手の電話番号を聞き出す。

6)初対面で親切な日本人には要注意。彼等はタイの警察に取り入ってパトカーの先導で空港送迎をする(これはお金を払えばだれでも頼めます)など、いかにもタイ社会で顔が利くような行動をし、信用させ、最初はソフトかつ親切に近づくが、後で豹変するのです。クラブの経営なども含め、組織的なもの、非組織の者を含め日本の裏の社会がバンコクでも急速に広がっています。

7)見知らぬ人(ご用聞き、もの売り、修理人、運送屋等)がきてもすぐにドアをあけず必ず、覗き穴から確認する。

4. 地域社会に接触を持つ

1)信頼のおける友人をアパート内にもつ。ただし、メイド、アパートの人間を絶対的に信用してはいけません。ご注意ください、「絶対信用してはいけません」ではなく、「絶対的に信用してはいけない」です。(メイドを替えるときは鍵も替えましょう。)長期の留守の時は新聞や郵便の処理などを友人や隣人に頼む等するとよいです。そのための普段からのつきあいも大事です。

2)相手に警戒していることをわからせる。ときに現地に長くいいて勝手がわかっているようにふるまうことも有効。(服装、小道具)だだし中途半端はばれます。

3)最低限のタイ語の習得は自己防衛の必要最小条件です。

 

5.非常時の対策確保

1)連絡先の電話番号を24時間携帯することは必須です。ヘルプミーカード(行き倒れ!(^_^; や事故などで自分の意識がないときなどそれを見た人が連絡をできるよう、タイ語や英語で書いた連絡先カード)をつくっておくとよいでしょう。

パスポートコピーは必携。タイではタイ人がIDカードの携帯を義務づけられているように、外国人もパスポートの携行が義務づけられています。職務質問されたときに持っていないと警察署に行く羽目になります。この件については、日本大使館と当局とのネゴにより日本人はパスポートコピーでも運用上OKとなるようになるようなったと聞いています。

2)普段使っている運転手には安全運転を指導する。またいざというときにはボディガードになってもらえるようなコミュニケーションをはかる。

3)家族にも注意する事項をよく徹底する。

4)難しい問題、危険を察知したときは一人で考えずすぐ相談する。これ重要です。

 さて、いろいろと技術的なことを述べてきましたが、私がもっと重要と思うことがあります。それは自分は社会とは無縁には生きられないことを忘れないと言うことです。海外駐在のように日本国パスポートが頼りである生活においては、その意味がなまはんかなものでないことを感じます。他人の助けなしでは外国では(そして本当は日本でも)誰も生きては行けないのです。パスポート無しで世界を渡り歩ける人以外は社会に迷惑を掛けないようこころがけましょう。

 私も、バンコク領事館の窓口でパスポートを無くした人が「俺は高い税金払ってるんだ、明日までにパスポートをつくれ」とか怒鳴っている姿を見かけたのが数回ではききません。見苦しいものです。たいていは社会的地位の高そうなひととか、いわゆる貧乏旅行人風の外見の人によく見られます。自分が一人で生きている(あるいは生きて行ける)と思っている人が多いのですね。

 自分の知らないところで迷惑をかけていることは必ずあるものです。

行く先や連絡先、さらに帰る予定日すら告げずに、気ままに旅をしている人も多いと思います。なかにはまったくの行方不明の旅をされるかたもいます。日本の家族が心配をして大使館や在住者にわらにもすがる思い出で捜索を頼んだり、そこまでいかずともみなさんの貴重な時間を費やして宿などを探してもらったりしています。「そんなことしやがって」とあとで怒るのでしょうか? 自分が人から愛されたり心配されたりするのは、相手の勝手と言い切るのでしょうか。山に入るときに記帳することは社会的なマナーですが、同様のマナーがあってもいいと思うこのごろです。

 ある人が航空券と財布をすられすっからかんになりました。領事館で金を貸してくれとできない相談をしているとき(気持ちはわかりますが)おそらくその人はご自分のことで頭がいっぱいでしょう。しかし、そのとき見ず知らずの人たちが自分の落ち度ではないことで被っている損害は、その人の摺られたお金や不便の比ではないでしょう。

 誘拐されたり、殺されたりしたときの社会的な影響はいうまでもありません。そして現実に大きな金銭的な負担が家族や関係者にかかってくるのではないでしょうか。

 罠にかからないようにするというのは、その人自身のためだけの安全対策ではないと私は思うのです。

 そうはいっても、人の世話になるな、迷惑をかけるなということではありません、社会は相互の助け合いでなりたっていることを忘れないで行動しようじゃないかということです。その心がけと実践があれば、むしろ助けが必要なときはきちんと助けを請うことができ、また逆に自ら他人に迷惑を被っても喜んで一肌脱いだりすることが礼節を保ってできるようなるだろうというです。その積み重なりが、多くの人が求めてがタイに来る理由の一つ、日本には無くなったとかいう、暖かい優しい人のふれあいを日本人の間に作って行くことにいくらかはつながるのではないでしょうか。

 


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